
~増田晴彦にしかできないこと~
もともと「風の騎士団」に登場する主要キャラクター達の人間模様に惚れ込んだのがファンになるきっかけでしたので、「モンスターしか出ないような漫画はちょっとねぇ」という理由から、この作品は買い控えており、長いブランクの後、やっと漫画を仕入れて読んでみたのですが、正直今までの考え方を改めざるを得ませんでした。とにもかくにも「面白い」のです。やはり増田晴彦氏は「モンスターの増田」であるべきなのでしょう。
この漫画は、「週刊少年宝島」というコミック誌に連載されていた作品で、わずか11週での雑誌の休刊とともに終わってしまったものを、加筆修正して単行本化したものです。
お恥ずかしい話、わたしはこの後のストーリー展開を勝手に想像しただけで、まる1日時を過ごしてしまいました。とにかく、中盤以降から徐々に明らかになる世界観が想像力を刺激し、さらには、後半では表題どおりの「モンスターオンリーコミック」だと思っていたのところに、人間キャラクターが出てきて、このキャラクターがこの漫画の世界観と密接に関係しているという素性が明らかになるとともにページを読む手を止められなくなるには必至で、それは「この後いよいよ佳境に入る」というという状況で話が終了してしまうのが残念を通り越して悲しくなるほどです。
これほどのクオリティを有する作品が未完というのが本当に惜しく、やはり増田晴彦氏はモンスターを描いてこそ、読者を魅了させる作品が描けるのでしょう。ちなみに、この本はエニックスより前に角川書店から発行されているので、角川書店の漫画担当者の方はぜひ、増田晴彦氏に新連載のオファーを出してほしいものです。
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出版社 角川書店 |
発行年 1989 |
ISBN 4-04-926010-7 |
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出版社 エニックス |
発行年 1995 |
ISBN 4-87025-103-5 |
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