なぜ車のキーレスエントリーは赤外線ではないのか

 先日、日本テレビ系列の「ドリームビジョン」という番組で、手を輪っか状にしてロックボタンを押すと、通常2,3メートルくらいの距離しか反応しないはずが、実に30メートル先でも車のロックができるようになると紹介されていました。これは、輪っかを作ることでその輪っか内でキーから発生する電波がループすることで、力が増幅される為なのですが、なぜテレビやエアコンのリモコンなどで用いられている赤外線ではなく、電波を利用するのでしょうか。

 結論から言ってしまうと、赤外線は受信範囲が狭く、受信部のほぼ正面からでないと受け付けないこともありますが、赤外線にしてしまうと車上荒らしにあう可能性が非常に高くなるからです。

 世の中には学習リモコンという大変便利なツールがあり、テレビやエアコンから送信される赤外線のデータを記録することで、複数のオリジナルリモコンと全く同じ動作を学習リモコン1台で完結させることができるようになります。

 しかし、赤外線であれば何でも登録できるため、車のキーから発生する赤外線(もしあればの話ですが)も例外ではありません。キーを借りたらこっそり赤外線データをコピーすれば、鍵を複製したも同然です。鍵屋に頼むこともないため、お店の複製記録に残ることもなく、オーナーの知らぬ間に車を簡単に盗んでしまうことができ、それゆえ、複雑な暗号化データを送信することも比較的容易な電波方式が採用されているというわけです。

 ただ、一部の古い車には赤外線方式が採用されている可能性もあるので、心当たりのあるオーナーは早々に鍵を交換することをおすすめします。
2007/09/15