トナー転写方式電子回路基板自作のまとめ(エッチング編)

How to make an original electric board(Etching)
回路図が完成したら、次はいよいよ実物制作です。KiCadで作成し、InkScapeで調整したpng画像をグラフィックソフトなどを介してレーザープリンターで出力します。まずは普通紙に印刷して、位置やサイズを調整します。実際に印刷すると1%位小さいサイズで出力されることが多いので、ピンの位置が合わなければ、1%単位で画像を拡大していきましょう。今回の事例では裏側にパターンを生成するため、反転印刷をする必要はありません。

調整ができたらトナー転写紙に印刷します。用紙を小分けにして印刷する場合は、少なくとも横幅を合わせ、両面テープで印刷紙と重ねて固定させると紙詰まりのリスクはグッと減ります。
基板に付着している汚れや油脂などを掃除します。プラスチックトレイに水を入れ、適量のクエン酸を溶かしたら、それに基板を漬けて数分待ち、液体から出したらタオルなどで拭いて乾燥させます。
これを基板に熱転写します。私の場合は、アイロンで中~高の間に温度を設定しました。木の板など堅く平たい台の上に乗せたら、はじめはアイロンを真上から優しく押さえ、剥離剤と基板を熱で密着、固定させます。アイロンを多少こすっても用紙がずれないのを確認したら、徐々に力を加えて、まんべんなく圧力をかけてゴシゴシこすっていきます。個人的な経験では、表面が黒ずむまでこすった方が用紙のトナーが残ることなく転写できました。
真水に漬けて用紙をふやかします。
水から取り出して、用紙を引き剥がすことになりますが、用紙にトナーがついて行ってしまわないように、まずは指でこすって用紙の表面を丁寧に削り取ります。そして、トナーの黒色がはっきり見えるようになったら、隅からゆっくりと用紙を剥がします。
トナーが剥がれてしまったなど、転写に失敗したなら、除去液を少し付けて硬めのブラシでこすっていけば元の状態に戻せます。
トナーのかすれた箇所は油性ペンで修正します。
どうでもいいですが、海外の通販サイトでは「基板用レジストペン」としてこんな偽物が売られているので、油性ペンはゼブラのマッキーが最善の選択肢のようです。
転写が終わったらエッチングです。腐食液が衣服についたらまずとれないので、身だしなみを整えたら、チャック付きポリ袋に基板を入れて、銅板が液に触れる程度に腐食液を注ぎます。そして、お湯(40-50℃)をためたプラスチックトレイにポリ袋を入れて化学反応を促進させます。
時々袋を振って溶液をかき混ぜながら10分くらい様子を見、マスキングしていない部分が下地のプレートの色まで変化したら木の箸(たとえステンレスのピンセットでも、わずかでも傷があるとそこから錆びます!)で基板を取り出したら、銅板を傷つけないよう、柔らかいブラシを使って洗浄します。テスターやLEDを使って回路の通電テストをおこなったら、基板用フラックスを塗って酸化の抑制処理を施します。

ポリ袋に入った廃液はまだ銅を溶かす余力があるので、別に用意したプラスチックボトルに移して保管します。

空になったポリ袋には有毒かつ酸性の液体が残っているので、砕いた消石灰を入れ、チャックを閉じてよく振って中和させます。処理をしたポリ袋は、燃えないゴミとして自治体の指示に従って廃棄します。

繰り返し使っているうちに溶解能力がなくなった廃液はセメントを入れて固めます。ただし、化学反応によって高熱とガスが発生するので、反応が安定するまでは容器の蓋は絶対に閉めず、安定した場所に保管してください。こちらも燃えないゴミとして廃棄します。

千枚通しなどの鋭く尖ったもので目打ちをして、ハンディドリルでピン穴を開けていきます。
今回の基板の半田付け例。


PIC32MXでLチカができました。
2018/09/13