風の騎士団
~広報部イチオシの作品~

 わたしが「増田晴彦」に付いていこうと決心したと同時に、これから増田晴彦の世界に触れようとお考えの方に最も薦めたい作品です。話の舞台は架空のファンタジー世界で、盗賊団に養われていた少年・ゼファが、世界を手中に収めようとする1大帝国に母国を追われた竜騎士・マズルと出会うことから話は幕を開けます。第1話目から壮大なストーリを連想させてくれ、ぐんぐん作品に引き込まれてしまうこと必至です。第2話では、少年ゼファがふとしたきっかけで、キャラバンとともに旅をしていたユーリアという名前の少女と出会い、それは後の重要な伏線となっていき、話はさらに深みを増していきます。

 序説で述べたように、増田晴彦氏はモンスターの類を描くのに定評があるのですが、氏が他の作家と決定的に異なるのは、そのモンスターにも何かしらの魅力が備わっているという点です。「風の騎士団」では竜騎士たちの手足となるドラゴンたちがそれにあたり、単なる演出としての小道具に収めさせないところが、増田晴彦氏の才能を如実に現しています。所々で、竜騎士たちと帝国の刺客とのバトルが挿入されており、一癖も二癖もある刺客たちとのアクションも注目したいところです。

 単行本の第4巻目にして、主人公ゼファの過去が次第に明らかになる(作者によると、この伏線は「トラップ」であり、大どんでん返しのストーリーを発表するつもりだったとおっしゃっています)などの、転換期を迎えようとしたのですが、そのころ掲載誌が「Gファンタジー」に移った時期で、あらすじを知らないのにいきなりストーリをぶつけたところで、読者にとっては評価のしようがなく、結局多くの伏線を残したまま、ぐずついた状態での連載終了とあいなってしまいました。これからという時に、このような結果になったことが本当に残念でなりません。しかし、それと同時にわたしは増田晴彦という漫画家をもっと応援していきたいと強く感じるきっかけになった、まさに「名作」です。読み終わったらあなたは絶対「THE BOOM」の音楽を聴きたくなるはず。

カバーイメージ 出版社
エニックス
発行年
1995
ISBN(第1巻)
4-87025-125-6

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